指標とその評価法、ADL

ADLとはActivity of daily lifeの略で日常生活動作と訳される。日常的に行われる基本的な動作全般のことを指し、介護やリハビリテーションの現場において使われる指標の一つである。要はどの程度自立した生活を送ることが可能かを測るものだと言えるが、動作といっても単純な歩行や食事、排泄だけを指すのではなく、記憶や対話といった生活に必要とされる能力をも含めて考える場合も多い。当人が自立できている場合ADLは高いとされ、基本的な動作ができなくなり介護が必要になってくるほどADLが低いと評価される。

高齢となったためや、何らかの病気や怪我での入院の後などに、ある程度症状が安定した頃ADLの評価が行われる。生活に必要な動作、食事ひとつとってもその中には様々な動作が含まれている。座っていられるか、箸は使えるかや咀嚼はできるかなどである。こういった事細かな様態は医師や看護師、介護士によって適宜注意が払われているが、一般的な評価法としてはFIM(機能自立度評価表)というものがある。FIMの利点は、その使用がリハビリに関わる専門家だけに限定されないというところだろう。

ADLの評価を家族の中でも行えるという気軽さは、当事者が問題をいち早く認識することを可能とし、深刻なケースに発展することを未然に防ぐことにもつながるのである。しかし、FIM自体は網羅的に身体能力を測るためのツールではないので、あくまで客観的な認識を得るためにのみ用いるべきであり、実際にどのような行動が介護をする側、される側に必要となるかは現場の人間の慎重な判断のもとなされなければならない。

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